昭和16年 厚さ約2.6cm 表紙は後から作られたものだと思います。
序文 日本語訳
そもそも文字とは、先人たちが記録や創作のために用いた基盤であり、後世の学者が隠された意味を探求するための方法である。
それは、言葉の意味を解釈する基礎であり、教育における重要な柱でもある。古来より、過去の知識を深く掘り下げ、音や意味を究明する学者は多かったが、それぞれが自らの視点や方法に頼るあまり、全体像を見失うことが少なくなかった。さらに、資料が散逸し、多くが失われてしまったため、研究は困難を極めた。その結果、文字学を真に習得した者は稀であった。
しかし、漢代の許叔重(許慎)はその中で例外であった。彼は卓越した才能を持ち、「六書」の理論を語り、学者たちが誤解している箇所を正そうと尽力した。そして、十五巻に及ぶ『説文解字』を編纂し、文字を分類・整理して体系化した。その功績により、文字学という学問の基盤を確立したのである。
それにもかかわらず、隋代以降、許慎の学問を継承した者はわずかであり、二徐(徐鍇・徐鉉)を除けば、この学問を深く掘り下げた者はほとんどいなかった。また、『論語』の解釈も十分には進まず、現状を嘆かざるを得ない状況であった。
清代の学者たち、特に佟述(とうじゅつ)は実直な学問を重視し、鄭玄や賈逵の文字学や古訓を徹底的に研究した。その成果として、膨大な文献が編纂され、その影響は多くの学者に広がった。これにより、文字の義訓(意味と解釈)を行う学者たちは数百家にも及ぶようになった。
ページ小黄ばみ、ややシミ。
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